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バロンドール
これは以前僕が仕事の修業の為、2年間鹿児島へ移り住んでた時に起きた事故を大げさにとりあげ、事件ぽくつづったお話です。



あれは鹿児島滞在4日目のことでした──



鹿児島のことを一切何も知らなかった僕は町の探検を重ねる毎日を送っていました。

レコード屋、洋服屋、本屋、食堂、ラーメン屋、ビデオ屋、コンビニ、クラブ。

そしてその夜、晩ご飯を買うために、あるお店に的をしぼりこみお買い物に繰り出したのでした。
向かった先は


そう、


ホカホカ弁当。


安くておいしいホカホカ弁当。


しかし家から自転車で15分もの距離。自転車に慣れていなかったので少々厳しかったがこれからの生活を考えてもホカ弁は僕の生活の一部になる。いわばパートナーだ。

僕は自転車をこいだ。時刻は9時半をさしていた。

冷たい風、冷えた体。

僕はけなげに自転車をこいだ。

しかし自転車はなかなか先に進まない。そうなのだ。日頃の探検ドライブのせいで僕の足の披露はピークに達していたのだった。
寒さと空腹と疲れをまぎらわす為か自然とドリカムの『あなたにサラダ』を口にしていた。

そしてとうとうホカ弁へとつながるビクトリーロードは最終コーナーに差し掛かった。希望に満ちあふれたその店は確にそこにあった。



夢だけど、夢じゃなかった!!

by サツキ&メイ



僕ははやる気持ちをおさえつつ店内に潜入する。


「いらっしゃいませ~♪」


僕の細胞は歓喜の渦だ。そして商品の多さと活気に心を奪われた。僕はホカ弁でカズダンスを踊っていた。

しかし同時にお客としてのプライドも芽生えてしまう。

ここは冷静に、ゆっくりと。

店員になめられないように慎重に余裕をもちメニューを見る。

すると店の女が話かけてきた。

年は40半ば。客と同レベルで話かけてくるタイプで、ノリでグイグイいくタイプ。お調子者だがこういうヤツの方が客ウケするのかもしれない。でも僕はすごく嫌いなタイプだった。
この女の為に気持ちを害してはいけないと自分に気を使い、急いで弁当を選ぶことにした。


そしてついに弁当が決まった。



時は来た。僕にとって鹿児島初の輝かしい弁当。


その名は。






カツカレー弁当。






それはまさに勝者の証である。
我ながらグッドチョイス。完璧だった。

待つこと数分、弁当は見事に出来上がりそのファンタジスタな姿をあらわにした。

僕は勝利への切符を手中に納めた。同時に感謝の気持ちでいっぱいになり、僕とホカ弁はパートナーとしてお互いガッチリ手と手を組んだ。


ディール!


自転車に飛び乗りビクトリーロードを急いだ。帰りは大技『立ちこぎ』も飛び出す有り様。ゴールはもう目の前。細胞達はスタンディングオベイションで僕をたたえスタジアムへと導く。


そして、とうとう家に着いた。


僕は用心深い。口の中に入れるまで気を抜かない。勝利への飽くなき執念、完璧だった。


玄関を通りすぎ、弁当を机に置く。そして洋服をドライブ仕様から完全自宅着へと着替える余裕を見せる。いや、この場合『見せる』ではなく『魅せる』の方が適切であろう。


そして満面の笑みを浮かべ弁当へ一歩一歩近づいた。

勝利へ一歩。

また一歩。

しかしチャンピオンフラッグ(弁当)に手が差し掛かろうとしたその瞬間、問題が起きた。


どうもおかしい。


弁当の立ち振る舞いがおかしい。なんか違う。


なんだろう……


そして次の瞬間僕は異変に気付いてしまった。


弁当箱がひとつしかないのだ。


通常(当時の)ホカ弁のカレーライスは2つ箱になっており、よりおいしく食べれるようにと、ご飯の箱とカレーの箱の2つにわかれているものだ。

しかし目の前の僕の弁当ときたらどうだ。


ひとつだ。


背中を冷たいものが流れ落ちた。

呼吸も荒くなり気分もどんどん悪くなっていった。


ま、まさか……


僕は恐る恐る弁当のフタをあけた。するとそこには驚くべき光景がひろがっていた。






白い飯の上に、寂しく横たわるカツ。






それはカツライスだった。






カツライスその人だった。








「ジーザス…」







僕のテンションはゼロだ。無だった。

具合いの悪さも最高潮に達し、せきこみ崩れるようにベッドへと倒れた。僕は一瞬にして病気になった。



「あんのクソババーやりやがったなー!!」



我に帰った僕はすぐさま店に電話をした。

明らかに向こうのミス。あのババアのミスだった。代わりの弁当を10分で持って来るとのこと。
僕はホカ弁との今後の付き合いも考え、自分をコントロールし冷静を取り戻し弁当を待った。


10分……

20分……

30分……







来ない……






待てども待てども来ない……






どういうことだ。再び不安がよぎる。





そして50分後──





《ピンポ~ン♪》






やっときやがったか。






『ガチャ!』


玄関のドアを開けるとそこにはやはりあの女が立っていた。


「誠に申し訳ございませんでした!」


女は謝った。カレーを入れ忘れた言い訳。持って来るのに時間がかかってしまった理由など。

しかしその女はお調子者だ。持ち前のノリでこの場を乗り切ろうとしてきた。
僕はイライラしたが広い心を持ちその話を受け止めようと努力した。

そして僕は女を、ホカ弁を許した。


かに見えた。


残念なことに次に起こした女のプレイで状況は一変する。


女の手にはビニールの袋。袋からまずサラダが出てきた。

まぁこの位はして当たり前のことだと、僕は有り難くその気持ちを頂戴した。しかし、次に主役である弁当が登場したのだが、なんとそれは『カレー』だった。カレーだけだったのである。


飯がない。


め、飯はどこだ??


飯はまだか??



1時間近く待っていた僕のカツライスはすでにカチンコチンに固まり、冷め、ホカホカとは縁のないものになっている。
普通ならカツライスとカレーの2箱持って来るのがスジ、常識というものだ。それが誠意というものではなかろうか。しかしその女は入れ忘れたカレーだけを持ってきやがったのだ。
どうぞこのカレーをカチカチのご飯にかけてお召し上がりください。なのだった。

僕の怒りはとうとう爆発してしまった。







「そのカレーをこの飯にかけたからってカツカレーが完成すると思ったら大間違いだぜおばちゃん!!俺はカツカレーを買ったんだ、カツカレーを持ってこい!!」







決まった。






自分のセリフに酔いしれながらも怒りはおさまらない。僕は長々とガミガミ説教を続けた。

こうして一人の女によって僕と弁当屋の関係は鹿児島転勤4日目で崩壊したとさ。

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 2006.11.11 Sat
  t:1   [日記]
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